毎日顔を合わしているおばちゃん
気がついたらお互い手を振る
いつしかこれが
おはよう こんにちはの合図になり
手を振りながら他愛のない会話が始まる
歳は多分私の母より気持ち上だろうな
お向かいさんだけど、話すようなったのは
10年くらい前だったかな
実家か少しばかり遠い私にとっては
いつしか近所のおばちゃんが
母のような存在になっていた。
仕事から帰ると、童話の笠地蔵のように
玄関先に野菜のお裾分けが置かれていたり
冬が近づけば、手編みの靴下を作ってもらったり
嬉しくて、ありがとうと伝えながら
なんだかんだ甘えてしまっていた。
いつものようにさっき
挨拶がわりの手を振り、会話が始まった
なんでもない会話から
『施設に入らしてもらうことになるかなぁ』と
おばちゃんの口からぽろり
『えっそうなの??』と
私の口からぽろり
でも、なんだか最近なんとなくそうなる空気は
感じていた。
頭に浮かんだこと=思ったことが現実になる
やだな、こっちを引き寄せちゃったのかな…
おばちゃんと私は2年ほど前に
時を同じくして体調を崩して入院していた。
お互い退院してきて
『久しぶり!』の会話で、お互いのことを知った。
おばちゃんは毎日歩いていた
リハビリだと思う。
それまでチャキチャキ活発なヒトだった
だから、足が前に出にくくなった事を
元に戻したい気持ちが
頑張って歩く起爆剤の一つになっていたんだと思う
『ずっとずっと頑張って働いてそして
今はこんな感じ』
寂しげに話してくれた事があった。
私はいつも
『そうなんだねぇ』って聞くだけ
私は家族じゃないから、
勝手に心の拠り所にしてたおばちゃんが
居なくなるのが寂しい。
今の場所に移り住んでから、この地域で
初めて受け入れてくれた私より大人のヒトだった
だから大事なヒト。
明日からは
もっとおばちゃんとの他愛ない会話の時間を
大切に過ごそう。
そして誰とであっても、自分との時間も
もっと大切に過ごしていこう。
2度とない時間だからさ。